アインシュタイン自筆の方程式
方程式
方程式はすでにバビロニアなどの古代文明で用いられていた。リンゴ2個とミカン2個の合計が4とするには、「考える」ことが必要となるが、2+2=4は手続きを実行するだけで「考える」必要はない。分数の割り算は、ルールを覚えてしまえばさほど難しくはない。多くの子どもたちが分数の割り算が苦手なのは、その理屈を「考えて」しまうことによる。
この世界で起こることすべては、いずれ科学で説明がつき、技術で再現することができる、という考え方があります。
もしそれが本当だとしても、実現できるのは遠い将来のこと。
おそらく科学や技術が進歩するほど、世界の謎は深まるばかりという方が、ありそうな未来です。
すでに科学技術によって解決済みとされているテーマにしても、よくよく見直してみれば、落としものや忘れものだらけ。
しかもそれらは、いちばん大切で、しかも日々の生活のすぐそばにあったりするようです。
たとえば、勘や気配や予感をはじめ、合理的に説明されたように思えても、どこか腑に落ちないものは、決して少なくありません。
思えば現代文明はずいぶんたくさんの忘れものをしてきてしまいました。
しばしの間、立ち止まって、あれこれ思い出してみるときが来ているのかもしれません。
来るべき科学や技術の種は、そんな忘れものの中で、見つけられるのを、いまや遅しと待っているのです。
堀場製作所
アインシュタイン自筆の方程式
方程式はすでにバビロニアなどの古代文明で用いられていた。リンゴ2個とミカン2個の合計が4とするには、「考える」ことが必要となるが、2+2=4は手続きを実行するだけで「考える」必要はない。分数の割り算は、ルールを覚えてしまえばさほど難しくはない。多くの子どもたちが分数の割り算が苦手なのは、その理屈を「考えて」しまうことによる。
賢者の石は、「ハリーポッター」で有名になった「石」。錬金術において、卑金属を金に変える触媒となると考えられた霊薬であり、知恵の象徴でもある。ホムンクルスは錬金術の人造人間、およびその製造技術のこと。ホムンクルスは、生まれながらにして、あらゆる知識を身につけているとされる。
ユダヤ教神秘主義カバラで重視される「生命の樹」のこと。10個のセフィラと22個の小径(パス)を体系化した図もセフィロトと呼ばれる。森羅万象をあらわし、10個のセフィラで分類されぬものはないとされる。世界を記述し理解するためのシステム図ともいえるかもしれない。近代以降の西洋魔術でも重要な役割を果たした。
ピタゴラスの「テトラド(四元数)」
創始者はピタゴラスだとされるが、ピタゴラス以前から世界各地でさまざまなかたちで行われていた。名前を数に置き換えたり生年月日を用いて、固有の計算式に基づき運勢や宿命を占うものである。数字に特別な意味やパワーを付与することで、未知の「知」を生み出すシステム。
古代の天文学者や占星術者が用いた天体観測用の機器であり、太陽、月、惑星、恒星の位置測定および予測、経度と現地時刻の変換、測量などに使われたアナログ計算機である。イスラム世界の各地で真鍮製のアストロラーベが改良され、かなり精緻で複雑な構造を持つものもつくられた。
世界でもっとも古い図書館の一つが紀元前七世紀のアッシリアのアッシュールバニパル宮廷図書館。収蔵されていたのは粘土板文書である。また有名なアレクサンドリア図書館は、薬草園が併設されるなど総合的なデータベースでもあった。いずれも利用者は一部の特権階級に限られていた。西洋で書物が知恵の道具として普及するのは、やはりグーテンベルクの登場を待たなければならなかった。
ルルスの「結合術」
記号の組合せや結合によって新たな知識を創出する方法が、結合術(アルス・コンビナトリア)である。中世の神学者ルルスは『結合術』を綴り、計算理論の先駆者とされた。哲学者ライプニッツもルルスの影響を受け、『結合法術』を発表し、ルルスの結合術をもっと機能的で正確なものにしようと試みた。
旧約聖書の「創世記」に登場する木。その実を食べると、神々と同様の善悪の知識を得るとされる。アダムとイヴが知恵の樹の実を食べたために、エデンの園を追放され、人間は死からのがれられない存在となる。リンゴであるとも、イチジクであるともバナナであるともされる。
ソロバンの起原については、アステカ起源説、アラブ起源説、バビロニア起源説、中国起源説など諸説がある。日本で普及したのは江戸時代。競技において電気式計算機械より速く計算したという記録もある。一方、算盤(さんばん)は、算木を用いる計算のための格子状の板、あるいは紙のこと。ソロバンも算盤もデジタル計算機である。
携帯日時計
地上に立てられた一本の棒が、知恵の原点であり象徴ともなった。グノモンは日時計の影をつくる棒のことで、「指示」や「識別」も意味する。太陽とグノモンによって、時間が自動的に指示される。中国では磁石が「指南」と呼ばれ、後に知恵を授けるものの意味となった。
江戸時代の思想家、三浦梅園の主著『玄語』は、陰陽哲学や気の哲学をベースに論理的な世界像を構築したものである。これ収められている約160個の円形ダイアグラムは玄語図と呼ばれる。円を基本としたテンプレートにより、あらゆる概念が自動的に配列されていくかのようである。
復元されたパスカル計算機
歯車などの機械要素を用いて計算を行うアナログ計算機。17世紀ヨーロッパで立案された、シッカート、パスカル、ライプニッツらのものが初期の例であるとされる。ライプニッツは「立派な人間が労働者のように計算などという誰でもできることに時間をとられるのは無駄だ」として計算機を発明したという。
八卦の起原とされる「神亀負書図」
陰と陽の組み合わせで、森羅万象を表現し、将来を占う。陰陽を示す横線を3本重ねた組合せが「八卦」、6本のものが「六十四卦」である。二進法を確立したライプニッツは、イエズス会宣教師を通じて六十四卦図を知り、そこに二進法の計算術があることを見出したとされている。
機械式計算機の完成形が、バベッジの階差機関と解析機関である。解析機関はまた、プログラミングを前提としていた。ただしバベッジは設計と改良を繰り返すにとどまり、どちらも完成させることがなかった。バベッジの設計思想はインド論理学に大きな影響を受けているともいう。
R・フラッド『両宇宙誌』より
現在は記憶力が不当に軽くみられている時代である。かつては記憶は、知恵を構成する重要な要素であり様々な記憶術が考案された。書物の普及以前、建築は主要な記憶装置だった。書物そのものも、本来はその構造や意匠によって、記憶術の一部をなしていた。
『ガリバー旅行記』の「バルビバーニ渡航記」に登場する知識製造機は、ハンドルを回し単語を組み合せ新たな知識を生み出すというもの。このような「科学技術」に没頭するあまり、バルニバービの国土は荒廃している。これは著者スウィフトによる啓蒙主義運動に対する痛烈な批判でもある。
象のオートマタ
12世紀から19世紀にかけて、おもにヨーロッパでつくられた自動人形だが、人形を動かす、あるいは人形に魂を込めるという発想は、洋の東西を問わず古くからみられる。ユダヤ教のゴーレムやギリシア神話のタロースがその代表。日本の藁人形も動くことはないものの、一種のオートマタなのかもしれない。
17世紀値チベットの曼荼羅
密教経典にもとづき、主尊を中心に諸仏諸尊が習合する楼閣を模式的に示した図像。一種の世界模型であり、経典の記憶装置でもある。つまり曼荼羅を観相することで、自動的に経典の内容が想起されることになる。とくに日本で重視された両界曼荼羅は、大日如来の説く真理や悟りの境地を、視覚的に表現したもの。